ロンドン塔
苦労してたどり着いたロンドン塔は、堅固な城壁で囲まれており、「塔」というよりも「城塞」と呼ぶのがふさわしい重厚な建造物です。11世紀後半に、ウィリアム征服王によって中心部のホワイト・タワーが建設されて以来、何度も増改築が繰り返され、様々な用途に使用されてきました。中でも王家の牢獄としての役割は有名で、処刑や拷問、暗殺など、歴史上の多くの陰惨な出来事の舞台となったことで知られています。後にエリザベス1世となったエリザベス王女も、姉のメアリー1世の治世には、このロンドン塔に幽閉されていたのだそうです。
ミドル・タワー、バイワード・タワーと名付けられた2つの門をくぐり、いよいよロンドン塔巡りのスタートです。これまで、お城などを観光する場合は、日本語版の公式ガイドブックを買って、それを見ながら見て回ることが多かったのですが、今回は迷わず2人分の音声ガイド(有料)をレンタルしました。ウエストミンスター寺院とバッキンガム宮殿で使ってみて、すっかり味をしめてしまったようです。
音声ガイドの案内に従って進むと、右手にアーチ型の水門が現れました。テムズ河に面したこの水門はトレイターズ・ゲートと呼ばれ、政治的・宗教的な理由で投獄された、有名かつ身分の高い囚人たちの多くが、ここを通ってロンドン塔の内部に連行されたのだそうです。
中央部に2つの塔を持つ重厚な建物は、ウォータールー兵舎。中には歴代国王の王冠や笏、宝珠など、「クラウン・ジュエル」と呼ばれる宝器の
数々が展示されています。王冠にはめ込まれた大粒のダイヤやサファイアは圧巻でした。丁度、ここを警備する衛兵が交代する時間だったらしく、その様子を見物することができました。
ロンドン塔で最も古いホワイト・タワーは、修復工事の真っ最中。シートですっぽりと覆われていて、外観を見ることはできませんでしたが、内部にあるロイヤル・アーマリーズの見学は可能でした。イングランド
の武具を収めた国立博物館で、拳銃から大砲に至る大小様々な火器、甲冑、剣や槍などが展示されています。イングランド王の騎馬像が並んだ「ライン・オブ・キングズ」という展示は、とりわけ見事でした。また、実際に使われていた(らしい)断頭台と斧がセットで展示されており、歴史の生々しさを感じました。騎士の甲冑にまじって、日本の鎧兜が展示されていたのも目に留まりました。江戸幕府の第2代将軍・徳川秀忠
から、イングランド王ジェームズ1世への贈り物だそうです。
ホワイト・タワーの2階部分では、11世紀の建築当初から残るセント・ジョン礼拝堂を見ることができます。アーチ形を多用した美しい内装が目を引きますが、それだけでなく、保存状態が非常に良いことから、ノルマン時代の教会建築を現代に伝える貴重な資料ともなっています。
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