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バリ島の伝統芸能

一旦ホテルへ戻り、バリ風のフット・マッサージとフルーツ・サラダのサービスで一息ついてから、ホテルの送迎車でウブドの市街地へ出かけました。お目当ては、サンディ・スワラという歌舞団によるケチャ・・・のはずですが、車を降りてチケット売り場へ行くと、なぜか歌舞団も公演内容も違います。パダン・テガル・クロッド集会所へ向かったはずが、どうやら車が着いたのは、パダン・テガル・カジャ集会所だったようです。幸い運転手さんがまだ残っていてくれたので、車に戻って本来の目的地まで送ってもらいましたが、あやうく、日が暮れて暗くなった通りを、かなり遠くまで歩かなければならなくなるところでした。地元のスタッフでも間違えるほど、色々な公演が毎日あちこちで行われているということなのでしょう。

少々ハラハラさせられたものの、今度こそ目的地に到着。最前列中央の特等席を確保することができました。時々小雨がぱらつくあいにくの天候で、途中で屋根付きの集会所に場所を移すかもしれないというアナウンスがありましたが、なんとか野外ステージで公演ができるようです。

Kecak この日の演目は3つ。メインになるのがケチャ・ダンスです。まず、大勢の男性が、自分たちの歌声に合わせて踊りながら登場しました。上半身は裸で、ヒンズー教では神聖な模様とされる、格子柄のサルンだけを身につけています。奏でられる音楽に、楽器は一切使用されません。「チャッ」とか「チャチャッ」という掛け声を交えながら、声だけで複雑なリズムが紡ぎ出されます。私たちが知っているKecak2 合唱と同じものではありませんが、声量といい、歌い続ける持久力といい、大変なものです。指揮者の代わりにキーになる歌い手がいて、彼のひときわ鋭い掛け声に合わせて、次々と新たなリズムが繰り出されていく様子は見事でした。楽譜のようなものがあるのか、それとも口伝えに継承されているのか、合唱をやっている私としてはとても興味がありましたが、残念ながら、バリ島滞在中にそれを尋ねてみる機会はありませんでした。

Ramayana1 歌と踊りがしばらく続いた後、ケチャの歌声に合わせて、叙事詩「ラーマヤナ」の物語が始まりました。「ラーマヤRamayana2 ナ」というタイトルは、高校時代に世界史か何かの教科書で見たことがありましたが、内Ramayana3容は今回初めて知りました。会場で受け取った日本語の解説によると、魔王に妃を掠われた王子が、猿の軍団の助けを借りて、戦闘の末に妃を救出するというストーリーのようです。その中のいくつかのエピソードが、踊りで表現されました。ケチャの男性たちとは対照的に、踊り手の衣装は華やかで、目にも耳にも楽しい踊りでした。

Sanghyangdedari2つ目の演目は、サンヒャン・ドゥダリ。2人の少女による踊りで、ドゥダリは天使を意味し、踊りの最中に踊り手に神聖な魂が降りてくると信じられているそうです。トランス状態で、目を閉じたまま踊るということになっており、メイクの効果もあって、遠目では本当に目を閉じているように見えたのですが、どうやらカメラの望遠レンズはごまかせなかったようです。写真を見ると、しっかり目を開けていますが(笑)、2人ともとても可愛らしかったので、ご愛敬ということにしておきましょう。

Sanghyangjaran 最後の演目は、サンヒャン・ジャランです。これもトランス・ダンスの一種で、馬(ジャラン)の形をした人形に神が宿り、それに乗った踊り手はトランス状態になって、真っ赤に燃えた椰子殻の炭を裸足で蹴散らし、火を乗り越えながら踊ります。本当にトランス状態になっているかどうかはともかく、熱さをものともしない踊り手の集中力には驚かされました。

ところで、義父がバリ島へ行きたいと言い出した一番の目的は、どうやらケチャを見ることだったようです。長年の念願が叶って、きっと忘れられない夜になったことと思います。

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